令和6年度産業保安等技術基準策定調査研究等事業(休廃止鉱山における坑廃水処理に係る新たな安全性評価手法の開発に係る調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、休廃止鉱山における坑廃水処理に係る新たな安全性評価手法の開発について書かれた報告書である。金属鉱業等における鉱害は、事業活動終了後も坑口からの排出水や集積場からの浸透水等の坑廃水に含まれるカドミウムや砒素といった重金属等が水質汚濁や農用地汚染をもたらすため、適切な坑廃水処理を始めとする鉱害防止対策が講じられてきた。従前の基本方針では坑廃水中に含まれる重金属の処理量を評価基準として使用してきたが、第6次基本方針において排水基準等を満たしつつ継続的に坑廃水処理を実施していることを適切に評価する新たな手法の検討が求められた。調査の結果、補助金の実績報告書等により各鉱山の目標水質とそれに対する達成率が把握可能であることが確認され、新たな作業負荷を事業者に求めることなく対応可能であることが示された。また、近年激甚化・頻発化する豪雨等自然災害により処理能力を超過した際、やむを得ず未処理坑廃水を河川へ放流するケースを想定し、段階的リスク評価手法の検討も行われた。3つの段階で構成される評価フレームワークを用いて、渇水流量での保守的評価から河川流量シミュレーションによる現実的評価まで実施し、ケーススタディでは適切な希釈により環境基準を下回る可能性が示された。
