令和6年度産業保安等技術基準策定調査研究等事業(火薬類爆発影響低減化技術基準検討事業)報告書
報告書概要
この報告は、火薬類の爆発による影響を低減する技術基準の策定について書かれた報告書である。経済産業省委託事業として公益社団法人全国火薬類保安協会が令和6年度に実施した研究であり、火薬庫等の設置形態や周囲の地形が爆風圧の低減に及ぼす効果を科学的に検証することを目的としている。研究では、火薬庫と保安物件との間に丘や山がある場合を想定し、高さ2.5メートル、傾斜角30度の小スケール模擬地形を構築して野外爆発実験を実施した。含水爆薬0.625キログラムから40キログラムまでの4段階の爆薬量を用いて爆風圧の減衰状況を計測し、併せて地盤振動、騒音、高速度カメラ撮影による映像データを取得した。さらにPETN1.0グラムを用いた室内爆発実験も行い、野外実験の補完データを得た。実験結果から、模擬地形による明確な爆風低減効果が確認され、地形の実高さが高いほどその効果が大きいことが判明した。具体的には換算距離16メートル毎キログラム立方根の位置において、実高さ100メートル、50メートル、40メートル、25メートルの模擬地形がある場合、ピーク静水過圧はそれぞれ52パーセント、71パーセント、78パーセント、76パーセントに減衰し、正圧相インパルスは66パーセント、84パーセント、89パーセント、98パーセントに減衰することが明らかとなった。これらの科学的データは火薬類取締法における保安距離の適切な設定に活用される予定である。
