令和6年度地域経済産業活性化対策調査事業(ロボット等を活用した中小食品製造事業者の持続的な生産基盤の構築に向けた調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、北海道における中小食品製造事業者のロボット等導入による省人化・省力化の推進について書かれた調査報告書である。人口減少と人手不足が深刻化する中、北海道の基幹産業である食料品製造業の生産性向上を目的として、令和6年度に公益財団法人北海道科学技術総合振興センターが実施した調査事業の成果をまとめている。
本事業では4つの主要な取組みを実施した。第一に、ロボットSIerによる中小食品製造事業者の工場診断及び検討事例の発信では、道内企業への現地診断を通じて省人化の具体的な方向性を示し、特に検査工程の見直しなど作業そのものの必要性について検討することの重要性を明らかにした。第二に、道内の中小食品製造事業者と道内外のロボットSIerとのマッチングでは、函館で現場訪問形式、札幌でオープン形式の2つの手法で実施し、個別ニーズに対応した実効性の高いマッチングを実現した。
第三に、中小食品製造事業者における品質・生産工程管理等のスキルアップ研修では、RobotsTown株式会社の協力により、オンライン研修と現地研修を組み合わせた形式で実施し、114名が申込み、24名が最後まで受講した。研修では省人化等に向けた検討力の向上を図り、受講者が自身のニーズに合わせてフレキシブルに活用する状況が確認された。第四に、金融機関や支援機関等のネットワークを活用した導入促進方策の検討では、5つの機関との意見交換を通じて、橋渡し機能の実現に向けた課題と対策を整理した。
今後のロボット等導入を推進するための継続的なネットワーク体制構築では、推進意図の明確化、ロボット導入ステップに即したネットワーク機能の把握、面的アプローチを可能とするメンバー増強、食品製造業との接点強化という4つの要素が重要であることが示された。特に、食品工場の特質を理解する機関、省人化の方向性を示すアドバイザー、個別課題に応じた解決策を示すロボットSIer等、設備投資支援機関、技術的知見を持つ研究機関等の連携が不可欠である。
効率的な導入促進方策として、5段階のSTEPを提案している。STEP1では自動化・ロボット導入の必要性を知る機会の提供、STEP2では相互理解を深める連携力強化支援、STEP3では共通言語や橋渡し機会の提供、STEP4では支援チーム組成による連携実践支援、STEP5では食品製造事業者のスキルアップと持続的関係維持のフォローを行うことが効果的であるとした。本事業を通じて、単なる技術導入ではなく、地域全体でのネットワーク構築と継続的な支援体制の重要性が明確になった。
