令和6年度化学物質規制対策(ナノ材料等に関する国内外の安全情報及び規制動向等に関する調査)報告書

掲載日: 2025年7月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安・安全グループ化学物質管理課化学物質リスク評価室
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報告書概要

この報告は、ナノ材料を含むアドバンストマテリアル(AdMa)及び化学物質の内分泌かく乱作用について国内外の安全情報及び規制動向等に関する調査を行った報告書である。令和6年度に経済産業省の委託により、JFEテクノリサーチ株式会社が実施した調査結果をまとめたものとなっている。

ナノ材料は抗菌加工、日焼け止め、化粧品から産業分野まで幅広い用途があり今後の応用が期待されているが、安全性評価方法が確立されていないため、欧州では各国でナノ材料の届出・登録が義務化されている。フランスやノルウェーでは2013年に、デンマークでは2014年に、ベルギーで2016年に、スウェーデンでは2018年から実施されており、EU化粧品規則により化粧品中のナノ材料について安全性データの届出や表示が義務づけられている。国際的にはOECD工業ナノ材料作業部会でのスポンサーシッププログラムにおいてドシエが整備され公開されるなど、科学的知見の蓄積が進展している。

また、ナノ材料の開発が製品化に向けた具体的な取組みの中で表面改質や複合材料の開発により複雑多岐にわたってきており、AdMaの安全性や規制での扱いについても検討が開始されている。開発から加工、使用、廃棄までを含めたサプライチェーン全体でのライフサイクル管理の必要性が重要視されており、欧州を中心に「safe-by-design」と化学物質管理規制を結びつける動きが活発化している。さらに最近では持続可能性も含めた「Safe and Sustainable by design」アプローチの検討が進められ、欧州プロジェクトを中心に各種ツール開発等も進められている。

化学物質の内分泌かく乱作用については海外、特に欧州において関心が高く、2018年には殺生物性製品及び植物保護製品について規制対象として盛り込まれるとともに内分泌かく乱作用の判断基準が策定された。欧州では2020年秋に新しい化学物質戦略が公表され、新たな化学物質管理に向けた取組みが模索されており、世界各国の化学物質管理政策にも影響を与える可能性があるため注視が必要である。本事業では欧州及び米国を始めとした各国におけるナノ材料や内分泌かく乱物質の規制動向の把握、国際機関におけるガイダンス・テストガイドライン・規格等の調査、ナノ材料の安全性に関する情報収集等を行うとともに、OECD/WPMN試験プログラムへの我が国の対応を行った結果がまとめられている。