令和6年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(我が国医療機器産業の将来のあるべき姿等に関する調査)公表用調査報告書
報告書概要
この報告書は、我が国医療機器産業の将来のあるべき姿等に関して経済産業省が実施した調査についてまとめた報告書である。
米国におけるクラスⅢ治療機器開発では、研究開発から上市までのコストが製品単独で54百万ドル、失敗リスクや資本コストを含めると522百万ドルに上る一方、承認時点での非上場企業の推定買収金額は194.2百万ドルと開発コストより安価である傾向が示されている。グローバル企業と国内企業の比較においては、国内大手企業の研究開発費の伸びおよび買収件数は診断・治療系を問わず海外大手企業と比較して小さく、診断系企業では研究開発費の成長率が、治療系企業では買収件数が大きい傾向が認められる。
米国における医療機器スタートアップのM&AおよびIPO動向では、治療系スタートアップの方が診断系より件数が多く、治療系ではポートフォリオ拡張を目的としたM&Aが顕著に多い。診断機器系では特に画像診断機器において技術補完目的のM&Aが多く、治療機器系では循環器および整形外科領域でのM&Aが活発である。
国内の状況では、診断系において国内大手とスタートアップの分布に共通点が見られるものの、治療領域ではスタートアップのみ存在し主要大手企業が不在の領域も存在している。国内VCによる医療機器スタートアップへの投資状況は、医療機器特化で出資しているVCが1社、約20%以上の件数を出資しているVCが1社という状況であり、米国と比較して投資環境に課題がある。経営人材の面では、米国の医療機器スタートアップの95%の経営者が経営スキルを有しているのに対し、日本では50%にとどまり、医療機器メーカーでの経験についても米国80%に対し日本15%と大きな差が見られる。
