令和6年度中小企業活性化・事業承継総合支援事業 事業承継等に関する中小企業関係租税特別措置の利用状況に関する調査事業報告書
報告書概要
この報告は、中小企業の事業承継等に関する租税特別措置の利用状況について書かれた報告書である。中小企業庁の委託により株式会社NTTネクシアが実施した調査では、経営者の高齢化と後継者不在、新型コロナウイルス感染症による廃業増加、デジタルトランスフォーメーション等の課題に対応するため、事業承継やM&A時の負担軽減を目的とした税制措置の問い合わせ内容を分析している。調査では専門知識を有するスタッフ4~5名による問い合わせ窓口を設置し、平日6.5時間の対応を行った結果、年間を通じて最も問い合わせが多かったのは中小企業経営強化税制で全体の49%を占め、次いで中小企業向け賃上げ・所得拡大促進税制が31%であった。問い合わせは3月に最も集中し、総入電件数2,104件に達している。入電者の75%は事業者からであり、年度初めには税理士等からの相談が増加する傾向がみられた。各税制の問い合わせ内容では、中小企業事業再編投資損失準備金については経営力向上計画関連が63%を占め、登録免許税・不動産取得税の特例では適用要件が84%、中小企業経営強化税制では経営力向上計画関連が最多となっている。中小企業向け賃上げ・所得拡大促進税制では適用要件に関する問い合わせが90%を占め、特に教育訓練費や従業員の範囲、補助金の取扱いについての質問が多かった。これらの分析結果は、今後の中小企業支援策と税制改正要望の基礎資料として活用される。