令和6年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等委託事業(蓄電池の教育・広報)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和6年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等委託事業における蓄電池教育・広報について書かれた報告書である。
蓄電池産業戦略で掲げた国内蓄電池生産能力を支える人材育成・確保のため、株式会社博報堂が実施した調査の成果をまとめている。本事業では、蓄電池業界で働く人材に求められる知識・技術の調査・整理、教育活動に必要な教材作成、教育機関等への広報活動を実施した。
蓄電池産業では、電池セルおよびパック・モジュールの材料技術、要素技術、量産技術を担う技術系人材と、製造工程の稼働率向上と生産歩留改善を担う技能系人材が求められている。技術系・技能系それぞれについて、実際に働く上で求められる知識・技術を体系化し、スキルセットを作成した。
教材制作では、昨年度作成したテキスト教材を効果的に指導できるよう指導書補助資料を作成し、高専生・大学生向けの教材のあり方を調査・検討してテキスト教材を作成した。また、教育機関の立地に関わらず効果的な教育を行うため、難易度や費用ごとに複数の実験メニューを整理した実験集を作成した。
広報戦略では、2030年に150GWh/年の製造能力確保に必要な3万人の就業者獲得を目標とし、現在の成り行きでは約15,000人の獲得見込みに対し、14,552人の上積みが必要であることを試算した。キャリア採用では1万人強、大学・大学院生では約1,250名、高校・高専生では約1,000名の就業者確保が必要とされている。
調査検討会は産学の有識者により全3回開催され、電池工業会、電池サプライチェーン協議会、パナソニックエナジー等の産業界と、国立高等専門学校機構等の教育界が参画した。バッテリー人材に求められるスキルについては、正極材開発、負極材開発、電解液開発、セパレーター開発、機構設計、生産技術開発、生産準備、量産改善、保全、品質保証、品質管理、製造現場オペレーション、物流現場オペレーション等の業務分類ごとに、必要な技術キーワード、求めるスキル、望ましい業務経験、関連資格、関連業界を詳細に整理している。