令和4年度補正海外需要拡大事業(文化経済領域等の海外需要開拓に係るリスクマネー供給の実態調査)報告書
報告書概要
この報告は、日本の文化創造産業における海外需要拡大とリスクマネー供給の実態について書かれた報告書である。少子高齢化により内需が縮小する中、持続的な経済成長を実現するためには外需獲得が不可欠であり、特に文化創造産業の海外展開が重要な課題となっている。本調査では、英国、フランス、ドイツ、韓国の4か国を対象として、これらの国々が製造業を主軸産業としながらも高齢化に直面する中で、政府主導の戦略により文化創造産業の創生と拡大を図り、外需獲得による継続的な経済成長を実現している実態を分析している。
調査の結果、日本は英仏独韓と比較して文化創造産業の外需獲得規模が一桁小さく、世界における文化財輸出の存在感も薄く、結果としてGDPへの貢献も僅少であることが明らかとなった。これらの国々では、政府によるトップダウン施策を通じて文化創造産業のエコシステムが構築されており、公的機関や官民ファンドによる戦略的な投資とリスクマネー供給が行われている。
報告書では、日本の文化創造産業による外需獲得を推進するため、二段階のフェーズを経る必要があるとしている。第一の公共主導フェーズでは、公的機関・官民ファンドによるプラットフォームへの直接投資を先行させ、外需開拓への道筋をつける。その後、企業参入と民間投融資が促進されれば、第二の民間主導フェーズへと段階的に移行し、公的投資の回収も視野に入れることが可能となる。公的機関が担うべき役割として、海外顧客と日本の文化財をマッチングするプラットフォームへの直接投資、日本企業の参入活性化に向けた官官・官民連携施策の展開、民間主導フェーズへの移行における更なるマネー供給が挙げられている。
