令和6年度産業保安等技術基準策定調査研究等事業 (ネット市場における製品安全関連法対応状況等調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和6年度にネット市場における製品安全関連法対応状況について実施された調査研究事業の報告書である。
インターネット販売における製品安全4法(消費生活用製品安全法、ガス事業法、電気用品安全法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)対象製品の法令違反事案が増加している状況を受けて、一般財団法人電気安全環境研究所が経済産業省から委託を受けて実施した調査である。主要な調査対象は、PSE、PSC等のマークや届出事業者名の表示が無い製品を販売する事業者であり、インターネットで販売された製品による重大製品事故の比率増加が問題視されている背景がある。
調査業務は2つのチームに分かれて実施された。第一に、モール運営事業者のサイトを利用した販売事業者の法令遵守確認を行うチームである。消費者の利用頻度が高いモールサイト3社を選定し、電気用品を中心とした15品目について、月150製品、計900製品を対象として法令上必要な表示の確認を行った。調査方法は、検索キーワードを用いて対象製品を選定し、販売事業者に対してメールやモールサイト内の問合せ機能を使用して実際の製品画像の提供を求め、PSマークや届出事業者名等の適切な表示がなされているかを確認するものであった。
第二に、海外等直販サイト対応チームが、製品安全4法違反となる海外等直販サイトの削除・公開停止に向けた取組を実施した。経済産業省が提供するサイトリストに基づいて、レジストラやインターネットサービスプロバイダ等に対して削除要請を行い、フォローアップによる継続的な監視を実施した。対象となった31の閲覧可能サイトのうち13サイトについて削除要請を行い、2024年12月末までに3件の削除・公開停止を達成した。
調査結果として、多くの製品で法令適合が確認できない事例が発見された。直流電源装置では場当たり的な修正が疑われるラベル貼付、リチウムイオン蓄電池では本体ではなく梱包箱のみへの表示、電気ストーブでは日本市場向けでない疑いのある製品などが確認された。特に液石法関係の製品やカートリッジガスこんろ、磁石製娯楽用品、携帯用レーザー応用装置において法令への適合確認がとれないものが目立った。
監視体制の有効性については、調査をきっかけとして販売事業者が自主的に法令違反の疑いがある製品の販売を停止する効果が確認された。しかし、海外事業者による規制対象の理解不足や、同一の海外事業者が複数の販売事業者を通じて法令違反製品を流通させている実態も明らかになった。今後は令和7年12月に予定される製品安全4法改正により海外事業者が規制対象化されることを踏まえ、規制の考え方や対象事例を外国語でも周知していく必要性が指摘されている。