令和6年度「近畿地域におけるバイオベンチャーの知財意識向上に向けたガイドブック作成事業」(スタートアップの知財・法務ガイドブック)
報告書概要
この報告は、バイオ・ライフサイエンス領域のスタートアップにおける知的財産戦略と法務契約について書かれた報告書である。近年の科学技術イノベーションとスタートアップ支援において、特にバイオ・ライフサイエンス分野では知財戦略がビジネスの成否を左右する重要な要素となっている。多くのスタートアップは知財戦略を適切に構築・実行できる人材の確保に苦心しており、また適切な支援を得る機会も限られているのが現状である。令和年度に実施された「近畿地域におけるバイオベンチャーの知財支援体制強化事業」では、創業初期段階における大学や企業との技術移転契約等の重要性が浮き彫りとなった。
本ガイドブックは、起業を予定している大学研究者や創業初期のスタートアップ経営者向けに、知財戦略と各種契約における重要なポイントを分かりやすく解説している。バイオ・ライフサイエンス領域のスタートアップのビジネスモデルとして、創薬・再生医療、医療機器・SaMD、バイオものづくりの三つの分野に分類される。創薬・再生医療分野では、アカデミアから探索段階の研究成果を取得し、POC試験を終えたプロジェクトを製薬企業に売却するビジネスモデルが主流である。医療機器・SaMD分野では工学系の技術と医療従事者の評価により製品開発が進められ、クラス分類によって戦略が大きく異なる。バイオものづくり分野では、ゲノム編集や合成生物学技術を活用したスマートセル開発から商用スケール生産まで段階的に進められる。各分野において高度な研究開発・事業開発が求められ、知財と契約の知識とスキルが必須となっている。
