令和6年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業(バイオマス・廃棄物による発電利用及び熱利用の導入実績調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和6年度におけるバイオマス・廃棄物による発電利用及び熱利用の導入実績について調査した報告書である。清掃工場や産業施設を対象としたアンケート調査により、2022年度から2023年度にかけてのエネルギー利用実態を定量的に把握し、事業者が抱える運営上の課題について定性的な分析を実施した。清掃工場における発電量は2022年度の246.0万kLから2023年度の266.3万kLへと増加傾向を示し、熱利用量も113.2万kLから113.8万kLへ拡大した。このうちバイオマス分が約75%を占めている。FIT/FIP制度における一般廃棄物由来電力は4~5TWhと推定され、2020年度から2021年度にかけて大幅に増加したが、その後は減少している。この変動は大規模事業者による発電容量の増加と、売電期間終了による事業廃止の影響によるものである。産業施設における導入実績では、製材・合板・チップ業界や畜産業界において原料価格上昇の影響が顕著に表れている。定性分析の結果、事業者の主要課題として原料・燃料の調達量確保と価格上昇、設備の老朽化によるトラブル増加、運転維持費用の増大、専門人材の不足が挙げられている。特にロシア・ウクライナ問題や国際的なバイオマス需要増加により、国産木材価格が上昇し燃料調達が困難になっている状況が確認された。FIT/FIP制度終了後の売電先確保や事業採算性の維持も重要な課題となっており、再生可能エネルギー普及政策の効果的な推進には、これらの運営課題への対策が不可欠である。
