令和6年度国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費(ルール形成戦略に係る調査研究(気候変動適応策の社会的価値及び経済的価値の定量的評価に関する調査))報告書
報告書概要
この報告は、気候変動適応策の社会的価値及び経済的価値の定量的評価に関する調査について書かれた報告書である。令和6年度国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費として、三菱総合研究所が経済産業省に提出した調査結果をまとめたものである。気候変動の影響への適応策とは、既に起こりつつある、また今後起こり得る気候変動の影響を防止し軽減する備えと、新しい気候条件を利用するための取組を指すものであり、世界的に自然災害が増加する中、特に途上国において適応策のニーズが益々高まると予想されている。適応ビジネスは気候変動に起因する社会課題解決に資するが、その社会的価値や経済的価値を定量的に評価するための国際的に統一されたルールは存在しないという課題があった。本事業では、日本企業に有利となる適応策に係わる社会的価値及び経済的価値の定量的評価に向けた国際ルール形成の政策について検討し、適応ビジネスの推進につなげることを目的として実施された。調査では日本がルール形成を主導すべき適応分野・技術等として早期警戒システム、食料安定供給(農業)、保健・衛生の3分野を特定し、資金提供者へのヒアリング調査や文献調査を通じて各分野の社会的価値及び経済的価値に係わる定量的評価への取り組みを調査した。その結果、早期警戒システム分野が国際標準化検討に最も適していると判断され、グローバルなルール形成戦略ストーリーとして2つのパターンを検討した。第一は気候変動課題とソリューションのマッピングであり、第二は個別技術分野(早期警戒システム)における統一的概念の下層に分野・技術別整理をする国際規格の開発である。市場規模については、2012年から2024年にかけての国際機関からの早期警戒システムに関連する資金提供状況を調査し、緑の気候基金、世界銀行、アジア開発銀行からの資金提供が多く、特にアジア地域への投資が活発であることが判明した。
