令和6年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業(国内外のエネルギー・発電コストに関する調査・分析)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和6年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業における国内外のエネルギー・発電コストに関する調査・分析について書かれた報告書である。
本調査では、国際エネルギー機関(IEA)・経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)、米国エネルギー省(DOE/EIA)、英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)による代表的な発電コスト分析事例を精査し、エネルギー・発電コストに関する足下の動向を調査している。IEAは価値調整済みLCOE(VALCOE)という指標を提示し、変動型再生可能エネルギーの大量導入等による電力市場の変化が各電源の提供する電力の価値に与える影響を考慮した評価手法を開発した。米国EIAは均等化発電原価(LCOE)に加えて独自の指標である均等化回避原価(LACE)を提案し、特定電源の市場価値を表す評価手法を確立している。英国BEISは拡張均等化発電単価(Enhanced levelized costs)を提案し、特定発電技術の追加による電力システムへの影響の一部を反映した発電コスト指標を開発した。
本報告書では電源別発電コストの試算を実施し、2023年と2040年の各技術の発電費用を算出している。また、システム統合の一部を考慮した電源別コストの評価手法検討と定量評価を行い、LCOE*という新たな計算方法を提示している。さらに、蓄電池のコスト評価について詳細な分析を行っており、均等化貯蔵原価(LCOS)による蓄電池単体のコスト評価や蓄電池併設型再生可能エネルギー発電のコスト評価手法を検討している。石油火力と石炭火力の稼働率についても各国の報告書における想定を整理し、カーボンニュートラルを見据えた電源構成の変化に伴う技術別稼働率の変化について検証を行った。発電コスト分析に関する有識者ヒアリングも実施し、最新動向の把握と専門的知見の収集を図っている。
