令和6年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業(諸外国における電力系統関連政策等動向調査)成果報告書
報告書概要
この報告は、令和6年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業における諸外国の電力系統関連政策動向について書かれた報告書である。本調査は、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた環境整備を進めるため、我が国に先行する欧米諸国や新興国等を対象として、再エネ等の系統接続に関する諸制度の概要や施行状況について調査を行ったものである。
調査は系統接続・増強施策と系統運用に関する政策の二つの柱で構成されている。第一章では、ドイツ、イギリス、米国を対象に、大規模送電系統の長期計画策定における国家の戦略方針と系統計画の関係、また系統計画の策定における政府と事業者の関係やフローについて情報を整理した。さらに、系統増強を行う場合の判断根拠や、系統整備に係る費用分担のありかたについても調査している。
第二章では、ドイツ、イギリス、スペイン、アイルランド、オーストラリア、米国を対象に、系統安定化のために送電系統運用者が行う出力制御の制度や手法と実績、またこれに伴う補償の制度や実績を整理した。各国における出力制御の実施状況と補償制度について詳細な分析を行っている。
調査結果によると、欧州では実需前の計画段階における需給・混雑を市場的・技術的手段による調整にコストをかける国が多い傾向が見られる。ドイツでは実需前の再給電指令で全電源に補償を行っているが、実需フェーズでの緊急措置では補償を行っていない。イギリスでは市場において容量を入札で調達する手法と、長期的に供給が上回る見通しの場合にISOが出力制御を公募する手法を採用している。一方、オーストラリアと米国では出力制御に対する補償を行っていないことが確認された。
