令和6年度国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費(戦略的国際標準化加速事業:ルール形成戦略に係る調査研究(デジタルライフラインの仕様・規格に関する調査))調査報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省が実施したデジタルライフラインの仕様・規格に関する国際標準化推進事業について書かれた調査報告書である。PwCコンサルティング合同会社により2025年3月に作成され、空間IDの国際標準化戦略と実施内容をまとめている。
報告書では、空間IDの標準化対象を空間構造定義の仕様、すなわち空間分割手法、ID付与、属性情報に整理し、国際標準化の意義を技術開発促進と市場機会増加による空間属性情報の流通効率化・活性化と位置づけている。標準化団体としては、地理空間情報分野で強い影響力を持つOGC(Open Geospatial Consortium)を最有力候補とし、特にOGCのDGGS(Discrete Global Grid System)との連携による国際標準化戦略を推奨している。
実施内容として、OGCミーティングへの参加によりDGGS関係者との情報交換を行い、空間IDが極地対応を実現できれば、DGGS連携の実現可能性が高いことを確認した。また、OGC関係者および関連仕様関係者へのヒアリングを実施し、GeoSOTと協調しながらDGGS連携を進めることが望ましいとの推奨を得ている。空間IDの優位性については、既存地図での活用容易性、シンプルな技術仕様、実証数と利用分野の幅広さにおいて確認され、特に地下埋設物管理、災害対応、ドローン外部データ連携のユースケースで優位性を持つことが示されている。
2025年度以降の推進体制として、DADC(デジタル庁アーキテクチャセンター)を中心とした国際協調可能で持続性のある空間ID標準化促進体制の構築が提案されている。経済インパクトについては、国際標準化により技術リーダーシップの獲得、市場導入機会の拡大、グローバルな互換可能性の向上、国内技術仕様の混乱防止が期待され、最終的に空間情報サービスの実用化促進と空間属性情報流通の活性化を目指している。
