令和6年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業(福島県における水素社会のモデル構築に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、福島県における水素社会のモデル構築について書かれた報告書である。
日本は2017年に世界初の水素基本戦略を策定し、2050年カーボンニュートラル実現に向けて水素社会の構築を進めている。福島県では2020年に世界最大級の水素製造実証施設「福島水素エネルギー研究フィールド」が開所し、水素モビリティの先進導入広域モデルの構築が推進されている。県内には458台のFCVが普及し、5箇所の定置式水素ステーションが稼働している。
国内外の商用水素モビリティ及び水素ステーションの利活用促進事例調査では、FC車の導入促進施策として導入補助、運行補助、料金緩和、走行規制緩和の4種類が確認された。水素ステーションについては整備費補助と運営費補助の2種類の施策が実施されている。各国で購入費補助や税額控除、高速道路通行料金無料化などの多様な支援策が展開されている。
商用水素モビリティの特長検討では、FCVは電気自動車やハイブリッド車と比較して居住性の高さと航続距離の長さで優位性を持つことが明らかになった。特に大型トラックへの適用可能性が高く、ドライバーの負荷が最も小さい次世代車両として位置づけられる。この優位性を活かし、長距離運行を行う大型トラックを中心とした導入推進や、県外からも大型トラックを呼び込む方策の必要性が示された。
福島県における利活用推進検討では、高速道路沿いの主要インターチェンジ周辺を水素ステーション導入重点エリアとして設定し、物流事業者の集積状況や交通量データに基づく戦略的配置が提案された。また大型物流拠点の誘致、高速道路通行料金無料化、一時退出制度の活用などの具体的取組案が検討されている。さらに2025年2月に第7回産学官連携会議が開催され、33社・団体が参加して水素社会モデル構築に向けた議論が継続されている。
