令和6年度国連気候変動枠組条約交渉事業(地球温暖化問題を巡る国際動向調査(気候変動枠組条約(UNFCCC)))調査報告書

掲載日: 2025年6月13日
委託元: 経済産業省
担当課室: イノベーション・環境局GXグループ地球環境対策室
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令和6年度国連気候変動枠組条約交渉事業(地球温暖化問題を巡る国際動向調査(気候変動枠組条約(UNFCCC)))調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和6年度における国連気候変動枠組条約(UNFCCC)交渉事業について分析した報告書である。電力中央研究所による本調査は、COP29における交渉結果とパリ協定の運用状況、および主要国の気候変動政策動向を包括的に調査している。

COP29以降の気候変動交渉では、パリ協定実施指針の第6条市場メカニズムと第13条透明性に関する実務的課題が残存している。第1回グローバルストックテイクを踏まえた実施方法の見直しやNDC特徴に関するガイダンスが新たに議題化された。また、途上国支援関連議題としてポスト2025年資金動員目標の検討が継続されている。緩和作業計画では2024年に「都市:建物と都市システム」をテーマとした対話が実施され、建物エネルギー効率や空間計画等について議論された。

パリ協定の運用状況では、2024年9月時点で195の国・地域から168のNDCが提出され、2025年3月時点で19か国が次期NDC(2035年目標)を提出している。長期戦略については76の国・地域が提出済みである。第1回グローバルストックテイクでは、パリ協定が世界的に気候変動対策を活発化させた一方、目標達成には順調でないと評価された。特に世界全体のGHG排出量の経路が温度目標と一致していないことが指摘されている。

主要国の動向では、米国、EU、英国、中国、インドの政策分析が行われている。インドでは電気自動車導入促進のためのFAMEプログラムやPM E-DRIVEスキーム等の施策が実施されており、2023年に国内炭素クレジット取引制度が設立された。米印原子力協力では、第2次トランプ政権下で大規模現地化と技術移転を通じた原子炉建設計画が推進されている。