令和6年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(店頭商品デリバティブ取引の実態等調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和6年度に実施された店頭商品デリバティブ取引の実態調査について書かれた報告書である。商品先物取引の形態や参加者属性が国際的に大きく変化する中、システミック・リスク回避の観点から店頭商品デリバティブ取引の実態把握が重要性を増しているため、経済産業省が委託事業として実施した調査結果をまとめたものである。
調査は2024年1月から2025年1月の期間を対象として、商品先物取引業者および特定店頭商品デリバティブ取引業者126者に対してアンケート形式で実施された。調査項目には取引先数、契約区分、取引方法、商品名、原市場、月間取引量、月間取引金額、月末建玉残高などが含まれ、メールによるExcel様式での回答収集が行われた。
調査結果によると、回答事業者1者あたりの取引先数は法人・個人ともに全体として増加傾向を示している。月間取引金額についても2022年、2023年と比較して増加傾向にあり、2024年中は概ね4兆円から8兆円の範囲で推移した。取引されている商品や取引形態については経年比較で大きな変動は見られず、経済産業省関連商品および自己取引が大半を占める傾向が継続している。
取引方法別では差金決済取引が2022年以降増加傾向となる一方、現物の受け渡しを伴う取引やスワップ取引は減少傾向を示している。商品別の分析では、月間取引金額と月末建玉残高ともに金関連取引が最も多く、それぞれ平均3.22兆円、0.41兆円となっている。その他の主要商品として銅、WTI原油、天然ガスなどが上位を占めており、特に天然ガスは月末建玉残高で高い水準を維持している。
調査では市場規模の拡大に伴うシステミック・リスクの増大可能性が指摘されており、今後も継続的な動向監視の必要性が強調されている。
