令和6年度重要技術総合管理事業(国際約束の履行等に係る貿易管理等におけるAI技術効果検証調査)調査報告書(公開版)

掲載日: 2025年6月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済安全保障局貿易管理部貿易管理課電子化・効率化推進室
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報告書概要

この報告は、経済産業省の貿易管理業務におけるAI技術の活用可能性を検証した令和6年度の調査報告書である。近年の厳しい安全保障環境の下で、貿易管理業務の効率化・高度化を実現するため、AI技術の導入による業務変革の可能性を探ることを目的としている。

調査では、AI技術導入可能性の高い貿易管理業務を対象とした効果検証と、AI技術を用いた業務の将来像の作成という2つの主要な取り組みが実施された。効果検証では、問合せ対応支援と書類形式審査の2つのユースケースに焦点を当て、実証実験を通じてAI技術の有効性を検証した。問合せ対応支援では、マニュアルやホームページ、過去の問合せ事例をナレッジベースに登録し、新規の問合せに対して回答案を作成するRAGシステムのプロトタイプを構築した。その結果、FAQと重複する質問や簡単に判断できる質問については高い定量スコアの回答案を作成できることが確認されたが、複雑な質問については改善の余地があることも明らかとなった。

書類形式審査では、書類の画像データを入力として、書類の特定や項目の一致確認などの形式審査を実施する生成AIモデルのプロトタイプを開発した。形式審査の手順を詳細に指定することで、項目の読取から形式審査までを生成AIモデルで実施できることが確認されたものの、情報量が多い書類の誤認識や文字読取時の意味解釈に関する課題も発見された。また、貿易管理業務の将来像作成においては、諸外国の輸出管理業務に関する施策調査を実施し、輸出管理業務のデジタル化や統合プラットフォームの開発が共通的なトレンドであることが判明した。この調査結果を踏まえ、申請書提出、形式審査、本審査を対象として、ルールベース審査機能とAI審査機能を具備した貿易管理業務の将来像を策定した。さらに、この将来像の実現に向けた具体的なロードマップも作成され、2025年度から2028年度にかけての段階的な導入計画が示されている。