令和6年度フードテック分野における知財活用支援事業-報告書-

掲載日: 2025年6月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: 四国経済産業局地域経済部地域経済課産業技術室
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報告書概要

この報告は、四国地域におけるフードテック分野の知財活用支援事業について書かれた報告書である。四国地域は豊富な農水産資源と食品関連の伝統的な強みを有しているものの、これらの技術やブランド力が体系的に整理されておらず、フードテックに対する消費者の認知度や受容性が低いという課題があった。

本事業では、食品の製造から廃棄・再加工までのフードチェーン全体に関わる技術をフードテックと定義し、四国内の企業51社を対象とした基礎調査を実施した。また、有望な20社に対してヒアリング調査を行い、開発経緯や知財戦略、今後の展望等について詳細な聞き取りを実施した。これらの調査結果をもとに18件の四国内事例と2件の域外事例を選定し、WEB公開も含めた事例集を作成した。

普及啓発活動として四国フードテック普及啓発セミナー・展示会を開催し、6社が出展する展示会では株式会社リブルの牡蠣養殖技術や株式会社四国総合研究所の国産ライチ栽培技術に高い関心が寄せられた。技術マッチング支援では5社を選定し、戦略シートや技術PR資料の作成支援を行い、個別マッチングを実施して計15商談を実現した。

社会受容性向上の取り組みでは、大学生を対象としたフードテック講義を実施し、関心度が12%から88%に大幅に向上することが明らかになった。また、試食会では代替たんぱく質食品や機能性食品について、おいしさと購買意欲の間に相関があることが判明し、社会課題解決効果を期待できる食品であっても購買意欲向上には「おいしさ」が重要であることが示された。

四国フードテック推進検討会では、各県の支援機関との意見交換により、中小企業の非公開技術情報の収集課題や模倣懸念による情報秘匿の問題が明らかになった。今後の課題として、四国という広域での事業と各県事業の役割分担、支援機関間の定期的情報交換、企業の情報開示を動機付けるサイト設営、購買意欲に直結する機能性を重視した四国ブランド確立等が挙げられた。