令和6年度産業経済研究委託事業(ESRSの現状や第三国基準ドラフトに関する調査およびワーキング・グループの開催)調査報告書

掲載日: 2025年6月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局企業会計室
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令和6年度産業経済研究委託事業(ESRSの現状や第三国基準ドラフトに関する調査およびワーキング・グループの開催)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、欧州のサステナビリティ開示規制であるCSRDが第三国企業に与える影響について書かれた報告書である。EU域外企業も一定条件を満たす場合、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に準拠した開示が求められるため、EFRAGが第三国企業向けの基準(NESRS)を開発している。本調査では、NESRSの現状および2025年2月に公表されたオムニバス法案について詳細に分析している。オムニバス法案は既存のESRSの簡素化を目的とし、不要なデータポイントの削減、定量データの優先、必須項目と任意項目の明確化を図っている。これにより、NESRSの開発スケジュールに変更が生じることが予想される。調査では、日本企業を対象としたヒアリング調査とインタビューを実施し、企業がNESRSに対応する際の課題や懸念事項を明らかにした。その結果、システム整備、人材確保、アドバイザリー、保証等のコスト負担が主要な課題として挙げられた。特に規模の小さい企業ほど相対的な負担が大きくなる傾向が確認された。また、欧州サステナビリティ報告に関するワーキング・グループを開催し、有識者による議論を通じて政策提言を検討した。委員からは、NESRSとISSB基準の相互運用性確保の重要性、オムニバス法案による規制対象の不整合への懸念、Mixed approach適用時のEU域内計上方法の複雑さ等について意見が出された。これらの議論を踏まえ、日本企業のCSRD対応における実務上の課題と政策的な対応策について提言をまとめている。