令和6年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(2050年カーボンニュートラル実現に資する革新的技術開発調査)報告書
報告書概要
この報告は、2050年カーボンニュートラル実現に資する革新的技術開発調査について書かれた報告書である。経済産業省が令和6年度に実施した調査委託事業の結果をまとめており、グリーンイノベーション基金(GI基金)による20プロジェクトと、エネルギー・環境分野の中長期的課題解決に資する新技術先導研究プログラム(エネ環先導)の5分野39テーマを対象として分析を行っている。
報告書では、まず既存の取組における課題分析として、GI基金の20プロジェクトとエネ環先導の39テーマの俯瞰図を作成し、プロジェクト間の相互連関を示している。分析の結果、20プロジェクト内部には4つの類型の技術開発支援余地があることが判明した。これらは多様な製品技術、プロジェクト間を接続する技術、生産技術支援、および生産技術と製品技術の連携である。また、社会・産業構造を俯瞰すると、原燃料転換バリューチェーン、エネルギーマネジメントバリューチェーン、リサイクルバリューチェーンの3つの領域で連携余地が存在することが明らかとなった。
既存取組の課題に対する調査・分析では、分野横断的な連携の可能性と課題を検討している。特に、バーティカルなエンドツーエンドでのバリューチェーン接続、リーダー企業を核とした地域内でのバリューチェーン構築、地域間のバリューチェーン同士の連携が重要であることが示されている。脱炭素の方向性の変化については、経済圏の動向とエネルギーの動向を軸とした4象限での整理が提案され、継続的なモニタリングの必要性が指摘されている。
新規分野の技術に関する調査・分析では、デュアルユース技術に着目した革新的技術の探索を行っている。防衛省が防衛技術指針で掲げる12の重点技術分野と3つのバリューチェーンのマトリクスでの技術プロット、実装時期や技術成熟度レベルを睨んだ支援判断の重要性が示されている。アメリカのSBIR/STTR制度における防衛分野の技術開発事例を分析し、防衛分野の開発情報獲得スキームの構築と外部スペシャリストの登用による革新性確保の必要性が提言されている。
