令和6年度技術開発調査等推進事業(グリーンイノベーション基金事業に係るEBPM に関する調査) 成果報告書

掲載日: 2025年6月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: GX グループ 脱炭素成長型経済構造移行投資促進課 エネルギー・環境イノベーション戦略室
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報告書概要

この報告は、グリーンイノベーション基金事業におけるEBPM(Evidence-Based Policy Making)の導入と自走化に関する調査について書かれた報告書である。2050年カーボンニュートラル実現に向けたグリーン成長戦略の中核を担う総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業において、政策効果の検証と管理手法の確立を目的として実施された調査である。

調査では三つの主要な仕様項目を設定し、包括的な検討を行った。第一に、アウトカム目標である国際的競争力の算定については、20プロジェクトの研究開発項目ごとにVRIO分析を用いて技術優位性を評価し、経済価値、希少性、模倣困難性、組織の4つの観点から競争力を判定した。技術指標については担当課室の助言を受けて精緻化を図り、特許調査と標準化取組の調査により模倣困難性を評価した。分析の結果、64%の研究開発項目が国際競争力を有するか競合国と同程度に分類されたが、日本が持続的に優位に分類された項目は発生しなかった。

第二に、GI基金事業の管理手法については、現在のモニタリング体制を整理し、EBPM実施主体や報告先の方針を設定した。実施頻度やタイミング、プロジェクトへの反映方法などの論点を整理し、実際のオペレーション体制と運用上必要なタスクを明確化した。

第三に、基金事業の有効性評価については、全プロジェクトの幹事社137社を対象としたアンケート調査を実施した。基金事業の有無による事業効果を測定するため、プロジェクトの規模、事業化期間、他社との協業などの設問を設計し、標準化や社外連携、実施可能性についても同時に調査した。

調査結果として、基金事業における社内体制の特徴では、専門部署設置、社内連携強化、意思決定迅速化を全て実施している事業者が半数以上のプロジェクトは1つのみであった。経営計画への記載状況については、短期・中期の経営方針にロードマップを記載する事業者が多いものの、対外公開については対応が分かれ、長期計画になるほど策定していない事業者が増加する傾向が確認された。