令和6年度将来のAAM(Advanced Air Mobility)市場獲得・参入可能性検討事業最終報告書(公表版)
報告書概要
この報告は、将来のAAM(Advanced Air Mobility)市場における日本企業の参入可能性について書かれた報告書である。
経済産業省中部経済産業局が委託したデロイト トーマツ コンサルティングによる調査研究は、日本のプレイヤーがAAM国際サプライチェーンにおいてどのようなポジションで参入すべきかを検討している。調査は3回の検討会を通じて実施され、機体開発の事業参入可能性に焦点を当てている。
調査結果として、日本は第1世代AAMの量産フェーズに向けたTier2サプライヤーの参入強化と、既存Tier1サプライヤーの競争力強化が重要であると結論付けている。日本の強みを活かせる部材領域として、機体構造とモーターが特定されており、CFRP素材を中心とする航空機産業の技術と、電動化で先行する自動車産業の技術が強み形成につながるとされている。
市場参入における重点課題として、投資判断における市場及び量産の先行き明確化、技術確立に向けた認証を含む製品性能基準の構築、量産リソース確保に向けたTier2サプライヤーの参入敬遠の解消が挙げられている。特に市場需要やビジネスモデルの不透明さ、認証取得の統一基準がないこと、自動車系サプライヤーが航空用途を敬遠することが障壁となっている。
解決策として、事業成立可能なビジネスモデルの確立、認証理解の促進と取得に係る伴走支援、必要な人材育成や設備整備による市場参入強化と競争力強化が提案されている。中部地域に対しては、産業体としての連携強化、大規模拠点の設立、企業誘致の推進などが期待されており、AAM産業発展のための具体的なネクストアクションが求められている。
