令和6年度重要技術総合管理事業(中小企業アウトリーチ事業(営業秘密漏えい対策))

掲載日: 2025年6月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局知的財産政策室
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報告書概要

この報告は、経済産業省委託の令和6年度重要技術総合管理事業(中小企業アウトリーチ事業(営業秘密漏えい対策))について書かれた報告書である。

グローバル化により海外進出する日系企業が増加し、技術情報漏えいリスクが増大している現状において、9割以上の企業が営業秘密漏えいに関する脅威を感じており、特に海外拠点を通じた自社秘密情報の漏えい対策が急務となっている。中小企業では海外拠点のリソースが限定され、営業秘密管理の重要性認識や管理体制整備が不十分であることが課題となっている。

本事業では在外日系中堅・中小企業を主なターゲットとし、現地事情に精通した専門家によるハンズオン支援と情報提供・普及啓発活動を実施した。中国、ベトナム、インドネシア、タイ、インド、欧州一部を対象とし、営業秘密管理体制整備を希望する日本企業や現地日系企業計17社に対して個別支援を行った。支援内容は営業秘密管理状況のヒアリング、アドバイス、契約書改正案作成、現場確認、従業員・管理職への研修等である。

個別支援の結果、アンケート回答企業15社中8社で営業秘密漏えい防止策を導入し、8社で新たな対策の検討を開始した。導入された対策には秘密保持規則、図面管理システム、アクセス権限管理強化、従業員向け情報セキュリティ研修、雇用契約書への機密保持条項追加等がある。

普及啓発活動として、営業秘密管理の重要性について啓発し個別支援のニーズを掘り起こすため、日本国内と中国でセミナーを開催した。企業募集セミナーでは延べ1,288名、成果普及セミナーでは777名が参加し、営業秘密官民フォーラムでも本事業の取組を紹介した。

また、米国の営業秘密保護法制度に関する調査報告書を作成し、連邦制度、判例法、統一モデル州法における営業秘密保護法の基礎、訴訟手続と救済手段の概要を説明した。本報告書は日本の中小企業の知的財産・法務担当者向けの入門編として位置づけられ、米国法専門家への相談に向けた基礎知識を提供している。