令和6年度放射性廃棄物共通技術調査等事業(原子力発電所等金属廃棄物調査)報告書
報告書概要
この報告は、原子力発電所の廃炉作業で発生するクリアランス金属の再利用促進について書かれた報告書である。我が国では現在24基の商業用原子炉が廃炉措置中であり、今後本格化する廃炉作業に伴いクリアランス金属の発生量増加が見込まれている。平成17年の原子炉等規制法改正によりクリアランス制度が導入され、放射能レベルが極めて低く人の健康に対する影響を無視できるレベル以下として原子力規制委員会の確認を受けたクリアランス物は再利用が可能となった。しかし制度の社会定着まで電力業界内や国民への理解活動を目的とした限定的な運用が行われている。第6次エネルギー基本計画では、廃止措置の円滑化及び資源の有効活用の観点から、フリーリリースに向けたロードマップを策定し、電炉メーカー等の協力を得ながら建材加工等により再利用先の拡大を進め、早期のフリーリリースを実現することとされている。これを受けて令和3年度より低レベル放射性廃棄物の処分に関する技術開発事業が開始された。令和6年度では、加工実証として鋼材等工業用製品への加工と利用、及びクリアランス製品への加工製造と利用を通じた高校生によるクリアランス理解促進活動を実施し、他地域への展開に取り組んだ。具体的には、株式会社広島メタル&マシナリーにて令和5年度製造のブルームを用いてアンカー2丁と新規ブルーム7本を製造し、アンカーは本田重工業に納入して新規貨物船に取り付ける予定である。また、原子力発電所等金属廃棄物調査検討委員会において、クリアランス制度の社会定着の定義やフリーリリースに向けたロードマップ構築について検討・議論を実施した。全ての取り組みにおいて、トレーサビリティの確保や分別管理の実施、安全性確認のための放射線測定を行い、放射線安全上の問題がないことを確認している。
