令和6年度経済産業政策関係調査事業(企業結合や業務提携に係る諸外国の政策動向及び我が国の実態把握調査)調査報告書

掲載日: 2025年7月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局競争環境整備室
委託事業者: NERA
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和6年度経済産業政策関係調査事業(企業結合や業務提携に係る諸外国の政策動向及び我が国の実態把握調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、企業結合や業務提携に係る諸外国の政策動向及び我が国の実態把握について書かれた調査報告書である。近年、人口動態の変化、産業政策の強化、気候変動、保護主義の台頭、デジタルエコノミーの進展などにより国際情勢や経済の不確実性が高まり、ビジネスモデルは大きく変容し、市場における企業間の連携や取引関係はより複雑化している。特に日本では少子高齢化による長期的な人口減少と市場規模の縮小が予測される一方で、カーボンニュートラルの要請や国際情勢の変化を契機として、基盤的産業の構造転換に対する要求も高まっている。

本調査では、アメリカ、欧州、イギリス、韓国の四つの地域における2020年頃から2025年までの競争政策の動向を調査した。アメリカでは民主党政権下でリナ・カーン FTC元委員長による規制強化の姿勢が顕著であり、2023年の合併ガイドライン改正により市場集中度の増加に対する構造的推定の導入や労働市場への影響を考慮する方針が示された。欧州では第一次フォン・デア・ライエン委員会発足以降、デジタル分野の規制強化とサステナビリティ推進が主要な方針となり、2022年のデジタル市場法の発効や2023年の新たな水平一括適用免除規制の採択が行われた。イギリスでは2021年の競争市場庁によるデジタル市場ユニット設立や国家安全保障・投資法の施行により、デジタル経済と国家安全保障への対応が進められ、2024年の労働党政権掌握後は経済成長と投資促進を重視する方針に転換した。韓国では2020年の独禁法改正によりキラー買収への規制が強化され、2024年の合併ガイドライン改正ではデジタルプラットフォームの特性を踏まえた審査やエコシステム型の混合型合併への対応が明示された。これらの調査結果から、各国共通の傾向としてデジタルプラットフォームの合併に対する規制強化の動きが確認される一方で、地域ごとに異なる競争政策のアプローチも見られることが明らかとなった。