令和6年度化学物質規制対策「大学・公的研究機関と連携した化学物質管理高度化推進事業」AI技術を用いた魚類における「代謝されにくさ」を決定づける化学物質の特徴探索調査報告書

掲載日: 2025年7月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安・安全グループ化学物質管理課化学物質リスク評価室
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令和6年度化学物質規制対策「大学・公的研究機関と連携した化学物質管理高度化推進事業」AI技術を用いた魚類における「代謝されにくさ」を決定づける化学物質の特徴探索調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、AI技術を用いて魚類における化学物質の「代謝されにくさ」を決定づける特徴を探索する研究について書かれた報告書である。従来の生物濃縮係数(BCF)測定試験は膨大な時間・コストを要し、動物実験の倫理的問題も指摘されているため、機械学習による予測手法の開発が求められている。研究では製品評価技術基盤機構(NITE)のデータベースから1,332種類の化学物質のBCF値と分子記述子を取得し、カテゴリーアプローチと説明可能なAI(XAI)を組み合わせた予測モデルを構築した。化学物質をイオン化特性に基づいて分類し、イオン化しない1,332物質を対象として201種類の分子記述子を計算した。特徴選択により相関の高い記述子を除去し、最終的に重要な分子記述子を選定してランダムフォレストとXGBoostによる回帰モデルを構築した。SHAP(Shapley Additive Explanations)を用いてモデルの解釈性を向上させ、BCF予測に重要な化学的特徴を明確化した。評価結果では決定係数R²が0.60-0.96の範囲で良好な予測精度を示し、疎水性指標MolLogPが最も重要な特徴として特定された。また、酸素・窒素の数(NOCount)やMinAbsEStateIndexなどの記述子も重要な寄与を示した。本研究の成果により、魚類における化学物質の代謝特性をより正確に理解でき、生物濃縮試験の代替手法として活用されることで、環境リスク評価や化学物質管理の高度化に貢献することが期待される。