令和5年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(市場メカニズム交渉等に係る国際動向調査)報告書

掲載日: 2025年6月9日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局環境政策課地球環境対策室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和5年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(市場メカニズム交渉等に係る国際動向調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、パリ協定第6条の市場メカニズムに関する国際動向について包括的に調査した報告書である。2021年のCOP26でようやく採択されたパリ協定第6条のルールブック以降、各国が市場メカニズムの実施に向けて直面している課題と進展状況を詳細に分析している。報告書では、2023年のCOP28において第6条2項および4項の決定文書が採択されずに会議が終了した状況や、京都議定書のCDMに関する動向、ボランタリークレジット市場の発展動向について調査している。ボランタリークレジット市場では、クレジット発行量は増加傾向にある一方、取引価格は下落が続いており、クレジットの信頼性確保に向けたICVCMやVCMIなどの民間イニシアティブの取組みが進展している。また、炭素除去プロジェクトやNature-based Solutionsに対する関心が高まっている。シンガポールでは炭素税への利用やエネルギートランジション支援でのクレジット活用が進み、米国では新たな取組みが展開されている。途上国の能力開発支援として、日本が主導するパリ協定第6条実施パートナーシップが60以上の国・機関の参加を得て発足し、承認手続き、報告書提出、追跡システムに関する作業部会を通じて実務的な支援を提供している。世界銀行やUNDPなどの国際機関は、デジタル技術を活用した登録簿システムの構築や報告書作成支援を通じて途上国の制度整備を支援している。しかし、国家登録簿の必要性に対する理解不足、政策枠組みの整備遅れ、技術的なベストプラクティスの未確立など、実施に向けた課題も多く指摘されている。