令和5年度燃料安定供給対策調査等事業(我が国におけるバイオ燃料に関する政策の在り方に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、我が国におけるバイオ燃料に関する政策の在り方について書かれた報告書である。令和5年度の燃料安定供給対策調査等事業として実施された調査結果をまとめており、バイオエタノール、バイオディーゼル燃料、持続可能な航空燃料(SAF)等のバイオ燃料に関する国際的な導入状況、研究開発動向、導入促進策について詳細に分析している。世界のバイオ燃料生産においては、エタノールは約60%がトウモロコシ、23%がサトウキビを原料として生産され、バイオディーゼルは約73%が植物油、25%が廃食油から製造されている。また、エタノール生産では米国とブラジルが世界全体の約73%を占め、バイオディーゼル生産ではEUが30.7%で首位となっている。2022年のパンデミックの影響による世界的な輸送用燃料の減少は回復しており、OECD-FAOの予測によれば2031年までに世界のエタノール生産は1400億リットル、バイオディーゼル生産は550億リットルに増加すると見込まれている。SAFについては、現在運転中・計画中の製造プラントの大部分がHEFA(廃食用油等を原料とする製法)であり、世界で290の製造施設が運転中または計画されている。各国の政策動向では、農業支援、GHG削減、エネルギー自給率向上という三大目的に基づく支援策が講じられており、特に米国、EU、ブラジル等で積極的な導入促進策が実施されている。一方で、セルロース系エタノールなどの先進型バイオ燃料については、2031年までに大幅な生産増は見込めないと分析されている。国内航空産業では、ANAとJALが2050年のカーボンニュートラル達成に向けたロードマップを策定し、SAFの調達・使用拡大に積極的に取り組んでいる状況が報告されている。