令和5年度無人自動運転等の CASE対応に向けた実証・支援事業(デジタル・自動走行分野の国際競争力強化のための産学官の協調領域の深化・拡大等に向けた調査検討)
報告書概要
この報告は、令和5年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業」におけるソフトウェア定義車両(SDV)と自動運転技術の国際競争力強化に関する調査について書かれた報告書である。
欧州ではDG CONNECTが主催する「Sherpa Governance Group」がSDVコンセプトペーパーを策定し、BMW、Mercedes、Renault等の主要OEMが参加してオープンなエコシステム開発と標準化されたソフトウェア開発を推進している。ドイツでは政府が4,300万ユーロの資金援助により「Software-Defined Car」コンソーシアムを立ち上げ、クラウドとデジタルツインの研究を中核とした取り組みを展開している。
技術的分析では、OEM各社がSDVを「再利用可能で効率的なソフトウェアを使用し、リアルタイムで継続的にアップグレードするインテリジェント車両」と定義し、Tier1サプライヤーやソフトウェア企業との協力により成熟度を加速させている。E/Eアーキテクチャは現在のドメイン型から2-3年後にゾーン型、その後車両集中型へと進化し、最終的にはクラウドコンピューティングとの連携を目指している。
ADAS技術要素では、カメラ、レーダー、ライダーが重要な役割を果たし、特にライダーの固体進化が注目されている。検知技術から制御技術まで、ハードウェアとソフトウェアの調和が必要であり、AUTOSARによる標準化が進んでいる。
実装動向を見ると、海外では Waymo が米国各都市でロボットタクシーサービスを拡大し、Oxaが英国で自動運転シャトル運行を計画している。物流分野では、Clevonがエストニアからリトアニア、米国へと自動配送ロボットを展開し、Gatikが北米で無人配送トラックを導入している。オーナーカーの自動運転機能については、レベル4の一足飛びではなく、レベル2の高度化やレベル3への段階的アプローチが主流となっており、Teslaのフルセルフドライビングベータ版やVolkswagenの2026年レベル4搭載車開発が注目される。
