令和5年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業(再生可能エネルギー熱利用促進のための調査事業) 報告書
報告書概要
この報告は、再生可能エネルギー熱利用促進のための調査について書かれた報告書である。本調査では、2023年4月の省エネ法改正により再エネ熱が新たに報告対象となったことを踏まえ、適切かつ経済的負担の少ない再エネ熱利用量の測定・報告方法について検討している。太陽熱・地熱・温泉熱・雪氷熱は非化石エネルギーとして報告義務があり、海水熱・河川水熱・地中熱・大気熱等は報告義務はないものの、一定の工夫をした設備を使用する場合には報告可能とされている。測定方法として、計量法に基づく積算熱量計による直接計測のほか、ヒートポンプの場合は供給熱量と投入エネルギー量から採熱量を推計する手法も認められている。太陽熱については建築用簡易計算ツールを用いた推計も可能である。また、再エネ熱利用システムの類型調査では、太陽熱、雪氷熱、地熱・温泉熱、海水熱・河川水熱、下水熱、地中熱・地下水熱、大気熱の各システムについて技術的特徴と用途を整理し、ベストプラクティス事例を収集した。制度面では、国内外の普及方針、補助金制度、建築物規制、環境価値取引等の実態を調査し、日本における再エネ熱普及促進のための政策提言を行っている。特に欧州では建築物における再エネ熱利用義務化やヒートポンプ導入支援策が積極的に実施されており、日本でも類似の制度導入が検討されている。導入コストについては設備種別ごとの初期費用と運用費用を分析し、経済性向上のための課題を明らかにしている。
