令和5年度産業経済研究委託事業(我が国と諸外国における政策金融の在り方に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、我が国と諸外国における政策金融の在り方に関する調査について書かれた報告書である。地政学リスクを背景としたグローバル市場環境の変化により、DXやGXをはじめとした新たな分野において企業の大胆な経営変革が要請されている状況を受け、各国の政策金融制度および民間ファイナンス主体の状況調査を通じて、我が国の成長投資を後押しする政策支援のあり方を検討している。調査対象国として米国、英国、ドイツ、韓国を選定し、各国の政策金融の基本的考え方、制度概要、主要プログラムについて分析を実施した。米国では民業補完の原則の下、教育や住宅分野に加えGXや国家安全保障分野での政策金融が拡大しており、CHIPSプラス法やTitle17プログラムなどが代表例である。英国では市場競争を歪めない範囲での支援を基本とし、EU離脱後は独自の産業政策を重視してライフサイエンス分野への注力が見られる。ドイツではEUルールに従った厳格な運営が特徴で、KfWを中心とした中小企業向け融資が主体となっている。韓国では経済成長の観点から先端領域への政策金融を拡大し、新成長4.0戦略の下で212兆ウォンの資金供給を計画している。各国とも従来の民業補完原則を維持しながらも、国家安全保障や気候変動対応、先端技術分野においては政策金融の範囲と規模を拡大する傾向が確認された。