令和5年度我が国におけるデジタル社会の形成に向けた基盤整備(中堅・中小企業等のDXの更なる加速に向けた調査)
報告書概要
この報告は、中堅・中小企業のDXの更なる加速に向けた調査について書かれた報告書である。我が国におけるデジタル社会形成に向けた基盤整備の一環として、経済産業省が実施した調査事業の成果をまとめている。報告書は、中堅・中小企業のDX推進が地域経済活性化とGDP拡大において重要であることを背景として、支援機関による効果的なDX支援体制の構築と優良事例の横展開を目的としている。主要な事業内容として、支援機関が中堅・中小企業のDX支援を加速させるための調査とガイダンス整備、DXセレクションによる優良事例の選定・公表、デジタルガバナンス・コード実践の手引きの改訂を実施した。これまでのDX推進に関する施策として、2018年のDXレポート「2025年の崖」から始まり、DX推進指標、プラットフォーム変革手引書、デジタルガバナンス・コード、DX認定制度などが段階的に整備されてきた経緯が示されている。中小企業支援においては、スマートものづくり応援隊事業、中小企業デジタル化応援隊事業、地域DX促進活動支援事業などが実施されているが、DX推進機関支援は現状僅少にとどまっている。事業の具体的な成果として、地銀や商工会議所等の支援機関向けのDX支援ガイダンスが作成され、中堅・中小企業のDX成功事例がDXセレクションとして選定・公表された。優良事例では、広島メタルワークが生産管理システムの活用により売上高23%増加を達成し、福岡運輸がスマート物流プラットフォーム「TUNAGU」を通じて全体最適化を実現している。これらの事例から、経営者の強いリーダーシップ、従業員のデジタル意識醸成、段階的なシステム導入、全社横断的なプロジェクト体制の重要性が明らかになっている。
