令和2年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業 (リチウムイオン蓄電池搭載電気製品の基準検討に向けた基礎調査) 調査報告書
報告書概要
この報告は、リチウムイオン蓄電池(LIB)搭載機器の安全性確保に向けた基準検討のための基礎調査について書かれた報告書である。近年、ノートパソコンやスマートフォン、充電式電動工具、充電式電気掃除機などのLIB搭載機器における事故報告件数が増加しており、特に非純正LIBを使用した場合の事故が急増している状況を受けて実施された。調査は電気用品安全法の規制対象への追加を視野に入れ、事故報告件数の多いLIB搭載機器の市場流通実態と技術動向の把握、安全なLIBに求められる要件の調査を目的としている。平成20年11月より、LIBセル1個当たりの体積エネルギー密度400Wh/L以上のLIBパックが電安法の規制対象となっているが、その後10年以上が経過し、技術革新と事故報告情報を踏まえた規制対象範囲の見直しが必要となっている。調査内容は三つの主要項目から構成されており、第一にLIB搭載機器の市場実態調査として過去5年間の国内販売台数、輸出入台数、輸入品比率の調査を実施した。第二にLIB搭載機器の技術動向調査として、電気掃除機や電動工具などの駆動系機器に使用されるLIBセルの性能要件、充放電制御の仕組み、充電器がLIB側に求める性能などを調査した。第三にLIB搭載機器の事故動向調査として、過去5年間のLIBを起因とする製品事故について、製品評価技術基盤機構が収集した事故情報を基に、定格容量やPSEマーク表示有無、体積エネルギー密度との関係性を精査した。調査はLIB有識者や関係業界から構成される検討委員会を設置し、関係機関からの情報収集とヒアリング調査を含む総合的な検討を実施している。
