令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(消費者・事業者間の円滑なコミュニケーション等に関する調査)消費者・事業者間の円滑なコミュニケーション等に関する調査報告書
報告書概要
この報告は、消費者・事業者間の円滑なコミュニケーションについて書かれた報告書である。
近年、成年年齢の引下げ、高齢化の進行、シェアリングエコノミーやSNSの発展といった社会変化により、消費者の消費行動が大きく変化している。一方、事業者においてもAIやビッグデータ解析等による技術革新、商品・サービスの多種多様化が進んでいる。このような急激な変化の中で、従来の電話・メール・FAXが主流であったコミュニケーション手段は、チャットボットやSNS等の様々な接点へと発展している。
事業者と消費者の関係は、1980年代までの一方的・受容的な関係から、1990年代から2010年代中盤にかけての双方向的な関係を経て、現在では共創的な関係へと変容している。消費者の価値観も、モノを所有することを重視する画一的な価値観から、自分にとって必要なものを購入するコト消費、さらにはトキ消費・イミ消費・エシカル消費等へと多様化している。
新型コロナウイルスの影響により、SNSを利用した情報収集やECサイトを利用した購買といった消費行動のオンライン化が一層進んでおり、この傾向は今後も続く見込みである。企業においても、ソーシャルメディアサービスの利用率が上昇し、チャット対応システムやチャットボットの導入が進んでいる。
本調査では、消費者の声の実態、事業者による消費者の声への対応実態、政府・消費者団体等との連携方針について詳細な分析を行った。特に、商品のトレーサビリティやデジタル化による工数削減、SNSを活用した情報収集システムの構築等が重要な論点として挙げられている。また、消費者団体の人員不足や高齢化、若年層の声の反映といった課題についても検討が行われている。