令和2年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(物流市場における競争環境や労働環境等に関する調査)調査報告書

掲載日: 2021年4月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ物流企画室
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令和2年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(物流市場における競争環境や労働環境等に関する調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、物流市場における競争環境や労働環境等について書かれた報告書である。EC化などのトレンドを受けて物流量が増加する一方で、トラックドライバーの深刻な人手不足により、運ぶ物はあっても運ぶ者がいないという需給インバランスが問題となっている。トラック輸送市場は約6万社の事業者で構成された過当競争市場であり、厳しい競争環境から事業者の利益率が低く、結果的にドライバー賃金も低水準に抑えられるため人材が集まらず、慢性的な人手不足に悩まされている。

調査では、なぜトラックの輸送効率が低いか、なぜトラックドライバーの時間当たり賃金が低いかという二点に焦点を当て、国内外の事業者へのヒアリングを実施した。その結果、輸送効率や時間当たり賃金が低水準に留まる理由は8つの問題に類型化でき、特に多重下請けによる中抜きの問題が最も根深く、全ての問題の根幹となっていることが判明した。多重下請け構造により、各階層で委託価格の10%程度が中抜きされ、6次請けの事業者は荷主の支払価格の約6割で受注することになる。

解決方策として、社会全体の課題として多重下請け解消に向けた取組を進めることが必要である。短中期的には、荷主・トラック事業者間での受発注管理システムの導入支援や、元請けトラック事業者が最終輸送者となった場合のメリット享受施策が考えられる。また、マッチングプラットフォーム上での成約案件については再委託を抑制し、プラットフォームの利用促進を通して従来の多重下請け構造を緩和することが重要である。その他の重要課題として、パレット利用の促進があり、手荷役と比較してドライバーの肉体負荷を大幅に軽減し、荷卸し時間を75%削減可能であることから、政府としての介入・支援余地について検討すべきとしている。