令和2年度ポストコロナにおける中国地域の歴史・文化と産業の融合による付加価値向上の方策検討調査報告書

掲載日: 2021年4月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中国経済産業局総務企画部企画調査課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和2年度ポストコロナにおける中国地域の歴史・文化と産業の融合による付加価値向上の方策検討調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、ポストコロナ時代における中国地域の歴史・文化と産業の融合による付加価値向上の方策について書かれた報告書である。令和2年度に中国経済産業局が実施した調査であり、VUCA時代における企業や組織の変革能力強化に着目している。

調査では、中国地域の産業発展の原点であるたたら製鉄から安芸十利に至る鉄の産業集積の歴史を紐解き、地域企業の技術力蓄積や人材育成による内製化、ターゲット市場とブランド化、知財戦略の強化といった強みを分析している。アンケート調査とヒアリング調査を通じて、歴史に紐づく力の源泉と新事業展開の状況、知財活用の現状を把握し、ダイナミック・ケイパビリティ理論に基づく企業変革力の重要性を示している。

特に神楽を事例とした地域文化のビジネス化についても詳細に検討されており、出雲神話から連なる神楽の歴史的変遷を神楽1.0から神楽5.0まで段階的に整理している。農村の祭礼から始まった神楽が、新舞、スーパーカグラ、舞台芸術化を経て、現在はグローバル化とデジタル化に対応した新地平を模索している状況が描かれている。

調査結果では、神楽団の担い手不足や高齢化といった課題が浮き彫りになる一方で、エンターテイメント性や表現幅の広さ、継承団体の多さといった強みも確認されている。コロナ禍においては無観客ライブ配信やクラウドファンディングなど新たな取り組みが展開され、リモートワークの普及や田園回帰の動きを活かした観光まちづくりの可能性が示唆されている。

本調査は、地域の固有資源を活用した付加価値創造の手法として、歴史・文化を基盤とした新たな価値創出の重要性を提言しており、中国地域の未来に向けた様々な考察と方策を提示している。