令和2年度地域中小企業人材確保支援等事業(中核人材確保支援能力向上事業)委託事業報告書
報告書概要
この報告書は、中小企業庁委託による令和2年度地域中小企業人材確保支援等事業について書かれた報告書である。本事業は、大企業の兼業・副業人材を活用した中小企業の中核人材確保支援モデルを全国に広域展開するための仕組みや手法を実証することを目的としている。
静岡市周辺エリアと浜松市周辺エリアの2地域において、地域の経営支援機関からなるネットワーク形成と支援担い手育成を実証した。静岡市周辺では静岡商工会議所、浜松市周辺では浜松いわた信用金庫を中核支援機関として設定し、市役所、よろず支援拠点、プロフェッショナル人材戦略拠点、地域金融機関など多様な経営支援機関が参画した。
地域ネットワーク形成では、持続的で自走性のあるネットワーク構築には推進力を持つ中核支援機関が不可欠であることが明らかとなった。商工会議所などの公的機関は利害関係にとらわれず幅広い機関への呼びかけが可能である一方、地域金融機関はOBや出向者のネットワークを活用した強固な連携体制を構築できることが確認された。また地域金融機関は取引先企業との中長期的関係を通じて、中核人材確保支援の推進役として重要な役割を担うことが期待される。
支援担い手育成では、勉強会による集合研修と個別の伴走・同行支援を組み合わせた育成プログラムを実施した。支援スキルの習得には実践的な経験が重要であり、特に企業との関係構築や課題整理、人材要件定義などの能力向上には継続的な実践機会が必要であることが判明した。今後は地域ネットワークの拡充と経営支援機関内部での支援人材育成および組織開発の推進が重要な課題として位置づけられている。
