令和2年度Withコロナ時代における企業の海外ビジネス戦略構築に向けた調査報告書
報告書概要
この報告は、新型コロナウイルス感染拡大下における九州企業の海外ビジネス戦略について書かれた報告書である。
経済産業省九州経済産業局が2021年に実施した調査では、コロナ禍による海外展開への企業意欲は大きく衰えていないことが明らかとなった。アンケート調査では既進出企業388社を対象に、売上高減少が58.9%、海外事業へのマイナス影響が54.0%となったものの、新規進出意欲は微減に留まった。有識者ヒアリングでも海外展開の戦略的重要性に変化はないとの見解が示された。
越境ECなどオンラインビジネスへの取り組み状況は、実施企業が25.6%に留まり、48.9%が未実施であった。取り組み内容ではオンライン会議が57.5%と最多で、取り組まない理由として対応人材不足や方法不明が59.8%を占めた。有識者からは、日本企業の商品魅力発信力の不足と現地マーケットニーズを踏まえた価格設定の重要性が指摘された。
現在の海外展開先は中国が最多で、韓国、台湾が続き、今後の展開先としてベトナムが24.5%でトップとなった。進出理由は海外市場開拓が最多である。有識者からは航空減便による物流停滞や現地への権限委譲の必要性が指摘され、現地拠点設置ニーズは継続するとの見解が示された。
海外展開の課題として、既進出企業と今後計画企業の双方で現地パートナー企業の確保が最多となり、従業員確保・教育、現地調達先開拓が続いた。オンラインビジネスでは信頼関係構築の困難さ、ECに適さない製品への対応、プレゼン能力向上の必要性が課題として挙げられた。
行政支援への要望では、各国事情の個別相談・情報提供が37.0%で最多となり、海外取引先開拓相談・支援が34.6%で続いた。有識者からは現地パートナー仲介、企業広報補助、行政機関連携、相談会・商談会実施、情報提供の5つのポイントが支援策として提示された。
