令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(日本企業のSDGsの戦略的推進に係る実態調査)報告書
報告書概要
この報告書は、日本企業のSDGs戦略的推進に関する実態調査について書かれた報告書である。みずほ情報総研株式会社が2021年3月に経済産業省の委託事業として実施した調査の結果をまとめたものである。調査では、海外展開している日本企業における本業とSDGsの関係性や、SDGsに戦略的に取り組む効果・意義について実態把握を行い、加えて企業による具体的なSDGs推進事例のケーススタディを実施した。ヒアリング調査は2021年1月から3月にかけて、大企業6社、中小企業・スタートアップ5社、金融機関3社、地方自治体1社の計15社を対象として行われた。調査では社会課題の解決と経済的利益の確保を両立させる事業を「本業SDGs」と定義して分析を進めた。調査結果として、多くの企業がSDGsが提唱される2015年以前から、結果的にSDGsに貢献する事業を行っていたことが判明した。企業の本業SDGsの取組は、衛生用品や空調製品の提供による快適・安全な生活への貢献、教育を通じた格差是正、環境負荷の持続可能な製品・素材の提供など多岐にわたる内容となっている。事業戦略におけるSDGsの位置づけとしては、SDGsを意識したマテリアリティの特定、SDGsと自社事業の関連性分析・開示、事業そのものがSDGs貢献に関与している場合の3つに分類された。本業SDGsに取り組む理由・メリットとしては、イノベーション創出とリスク軽減、新興国市場でのニーズ発掘、ステークホルダーからの関心獲得、従業員のモチベーション向上、ESG投資の獲得などが挙げられた。収益性については、既に収益に結びついている事業もあれば将来的な収益化が期待される事業も存在し、収益化に向けた各社独自の工夫がなされていることが確認された。
