令和2年度政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備・データ利用促進事業費(衛星データの利活用及び国内外の超小型衛星部品に関するサプライチェーンの動向調査)調査報告書

掲載日: 2021年5月14日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局航空機武器宇宙産業課宇宙産業室
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令和2年度政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備・データ利用促進事業費(衛星データの利活用及び国内外の超小型衛星部品に関するサプライチェーンの動向調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告書は、政府衛星データのオープン化及び超小型衛星部品のサプライチェーンと宇宙産業関連人材の育成・流動化に関する調査報告書である。

近年、超小型・小型衛星やその部品・コンポーネントの低価格化が急速に進行し、価格競争力で世界シェアの独占が懸念されている状況において、我が国宇宙機器市場は官需が大半を占め、市場規模が限定的であるため海外メーカーの部品・コンポーネントへの依存度が高い現状がある。令和2年6月に閣議決定された宇宙基本計画では、宇宙産業基盤の維持・強化に必要な重要技術の特定に向けた調査等に着手することが明記されており、衛星コンステレーションビジネスの進展に伴って、ボトルネックとなっている超小型・小型衛星の部品・コンポーネントを把握し、国内での製造も含めた検討を迅速に行うことが必要となっている。

本調査では宇宙システムのサプライチェーン調査と宇宙産業関連人材の育成や流動化促進に係る調査の2つの主要調査を実施した。宇宙システムのサプライチェーン調査では、概ね300kg程度以下の衛星を超小型・小型衛星と定義し、国内のシステムメーカーや大学から部品・コンポーネント供給メーカーまでヒアリング調査を実施した。世界的には2010年以降、超小型・小型衛星の打上げ実績が大幅に増加しており、特に2019年以降はOneWeb衛星とStarlink衛星の打上げにより100kg級と200kg以上の衛星数が大幅に増加している。

人材育成・流動化促進調査では、NewSpace分野の衛星製造事業者、部品・コンポーネントメーカー、大手衛星メーカー、JAXAにヒアリングを実施し、人材需給バランスと課題を検討した。現状の主要課題は人材の絶対量不足と求められる人材の偏りである。特に衛星のプロジェクトマネジメントや事業戦略・事業管理系の人材のニーズが高く、これらの能力獲得には長期間の人材育成と経験が必要なため、需要が供給を大きく上回っている。また中小部品・コンポーネントメーカーにおける後継者育成と事業継承も大きな課題となっている。