令和2年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(地中電線路に係る直接埋設式の埋設深さ及び施設等の妥当性調査)報告書
報告書概要
この報告は、地中電線路の直接埋設式における埋設深さ及び施設方法の妥当性について書かれた報告書である。経済産業省の委託事業として、一般社団法人日本電気協会が実施した令和2年度の調査結果をまとめたものである。
地中電線路は災害時の電柱倒壊による電力システムの機能喪失を低減し、災害に強い電力システムの構築に資することから電気保安の観点で注目されている。現行の電気設備技術基準解釈第120条第4項では、直接埋設式における埋設深さを車両等の重量物の圧力を受ける場所で1.2メートル以上、その他の場所で0.6メートル以上と規定している。しかし近年のケーブルや道路の性能向上により、従来の基準の見直しが必要となっている。
調査では、平成26年度から令和元年度まで実施された直接埋設式に関する委託事業の成果や諸外国の規制状況を踏まえて検討を行った。学識経験者及び産業界等の専門家で構成される委員会を設置し、本委員会3回、作業会5回の会議を開催して審議を重ねた。
主要な調査内容として、道路法等各法令規制及び海外における埋設深さの実態調査、直接埋設式に係る委託事業等の調査並びに埋設深さ及び施設方法の妥当性検討、解釈案の検討を実施した。また直接埋設式における防護方法の妥当性調査及び新素材や新製法等の新技術を用いたケーブルの調査も行った。
検証の結果、砂巻き構造等の適切な施工条件下では埋設深さを0.35メートルまで浅層化することが可能であることが確認された。この結果を受けて、新たな施設要件を満たす場合の埋設深さの規定について具体的な解釈案が作成された。また防護方法については、管路式との整合性を考慮した見直しの必要性が示された。