令和2年度補正経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(補助金申請システムの機能開発等に係る技術的支援を通じたマイクロサービス化等に関する調査実証事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省の補助金申請システムjGrants2.0の開発における新しいプロジェクトルールの実証について書かれた報告書である。経済産業省は従来の補助金申請電子化の課題を解決するため、令和2年1月にjGrants1.0を運用開始したが、複雑な申請プロセスへの対応困難やワンスオンリー機能の限界といった課題があった。これらの課題解決を目的として、jGrants2.0の機能開発事業において継続的な機能追加や改善を可能とするプロジェクトルールの確立が必要となり、本事業はそのルールの実証を行うものである。実証したプロジェクトルールは、Mini-WFとAgileのハイブリッド型開発スタイルを採用し、フェーズ別に異なる開発モデルとしてV-Shapeモデルを基盤とした。一つのPRD作成ごとに一回のウォーターフォールと複数回の開発スプリントを実施する構成となっている。ドキュメントプロセスでは、MRD、PRD、DevSpec、TestSpecに分けて情報の疎結合化を図り、各段階でレビュー合意を行うサインオフプロセスを導入した。実証結果として、作業ルールの複雑化、情報管理ツールの高負荷、プロジェクト進行における認識齟齬の頻発、レビュー体制の不足などの課題が明らかとなった。また、UI/UX改善の後手対応、レビューコストの高さ、ドキュメント管理の標準化不足なども問題として特定された。次年度以降の優先的なアクションとして、ドキュメント体系の整理による情報管理の適切化、スプリントプロセスの定着による効果的開発の実践、ユーザーとのコミュニケーション向上によるユーザー視点での開発運用、システム監査による効果的運用の実践という4点が提案されている。
