令和2年度国際ヘルスケア拠点構築促進事業(介護等国際展開推進事業)実施報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度における日本の介護・医療分野の国際展開推進について書かれた報告書である。
新興国における急速な高齢化の進行と医療ニーズの高まりに対応するため、日本政府はアジア健康構想に基づいてヘルスケアの国際展開を重点施策として位置付けており、本事業では日本の優れた介護サービス・福祉機器および医療機器・サービスの海外展開を通じて、各国の介護・医療水準向上と関連産業振興を目的としている。事業内容は4つの主要分野で構成されており、まず介護の国際展開では中国の江蘇省、上海市、広東省、北京市、西南地域およびタイとの高齢者産業交流会やビジネスマッチングを実施した。医療の国際展開では新興国の医療機器関連代理店と日本メーカーとのオンライン商談会を開催し、さらに専門家によるコンサルティング支援事業も展開した。健康経営のアジア展開に向けた基礎調査では、ASEAN諸国における労働衛生の現状調査と専門機関へのヒアリングを通じて、各国の健康経営導入可能性を検討した。中国での介護関連展示会では347件の商談が行われ14件が成約となり、タイでのオンラインマッチングでも具体的な成果を上げた。ASEAN諸国の調査結果では、一人当たりGDPと労働安全衛生体制の整備状況に相関関係があることが判明し、GDP6000ドル以上の国では健康増進ニーズが高まっていることが確認された。特にタイとインドネシアは労働安全衛生体制の成熟度や専門家の育成状況が異なるものの、両国とも医療費削減のモチベーションが高く、外部サービスプロバイダーとの連携による健康経営導入の可能性が示された。