令和2年度補正産業保安高度化推進事業(産業保安のスマート化に関する海外動向調査等事業)報告書
報告書概要
この報告は、産業保安のスマート化に関する海外動向調査について書かれた報告書である。経済産業省が推進するスマート保安の国際展開を目的として、三菱総合研究所が実施した調査結果をまとめたものである。
調査は大きく分けて海外動向調査と協力関係構築調査の二つから構成されている。海外動向調査では、まずアジア・中東10カ国を対象としたスクリーニング調査を実施し、その後インドネシア、ベトナム、インド、台湾、サウジアラビアの5カ国について詳細調査を行った。調査項目には各国のマクロ経済指標、エネルギー関連統計、産業保安関連規制の概要、スマート保安技術の開発・導入状況などが含まれている。
マクロ環境分析では、インドが人口規模とGDP総額で際立っているものの、一人当たりGDPは最下位であることが明らかとなった。エネルギー分野では、インドの1次エネルギー消費量と発電量の増加が著しく、石油精製能力においても過去20年間で大幅な拡張が進んでいる。韓国も石油精製能力で日本を上回る水準に達している。
各国の特徴として、インドネシアは製造業のデジタル化推進と安全管理の課題を抱えており、日本との協力基盤が既に構築されている。ベトナムはスマートエネルギー政策を推進し、石油化学分野の若手人材育成ニーズが高い。インドは製造業への成長軸シフトを図っているが、小規模プラントが多く生産性向上の余地がある。台湾はスマートファクトリー推進と人手不足対応が課題となっている。サウジアラビアは石油依存からの脱却とAI活用促進を国家戦略として掲げている。
協力関係構築調査では、インドネシアと中国においてオンラインセミナーを開催し、政府関係者と民間企業の参加を得て知見共有を行った。参加者からは今後の継続的な協力関係構築への期待が示された。
