令和2年度地域経済産業活性化対策調査事業(地域内プレイヤーと地域外の企業による地域課題共有型解決モデル調査事業)~地域のあしたのために~報告書
報告書概要
この報告は、地域内プレイヤーと地域外企業による地域課題共有型解決モデルについて書かれた報告書である。経済産業省中国経済産業局が令和2年度に実施した調査事業で、少子高齢化や人口減少により地域課題が多様化・複雑化する中、地域内の関係主体だけでは課題対応が困難になっている状況を背景としている。さらに新型コロナウイルス感染症がもたらすパラダイムシフトにより、デジタル化を含む社会変革が求められている。
調査では中国地域107自治体へのアンケート調査と地域内外企業への連携希望調査を実施し、地域課題解決の先行事例を分析した。自治体が抱える地域課題の分野では「地域活性化・文化振興」が85%を占め、その内訳として産業、雇用対策、文化コミュニティ対策が人口規模に関わらず共通課題として確認された。
地域課題解決に向けたプレイヤーは地域内プレイヤー(自治体、地域内住民等、地域内企業等)と地域外の企業等に分類され、その連携による課題解決の取組は3ステップで変遷している。第1段階は自治体のみによる取組、第2段階は地域内プレイヤーとの連携による内発的発展、第3段階は地域外企業等との連携によるネオ内発的発展である。
先行事例調査から地域課題解決モデルのパターン化を行い、地域の比較優位点ではなく地域内プレイヤーが主体となって地域内外企業の協力を得ながら課題を解決するパターンに焦点を当てた。共通要素として情報発信のインタラクティブ性、魅力的な人材の存在、出会いの場の提供が確認された。
新型コロナによるパラダイムシフトを踏まえ、VUCA時代における対応策として地域内外を問わず多種多様な人材との経済合理性を超えたつながりの重要性を提示している。偶然の人的結びつきが事業推進を加速させた事例も確認され、関係人口創出の観点から人とのつながりが地域の貴重な資産であることが示された。
