令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(業務部門における更なる省エネの促進に向けた省エネ法関連制度に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、業務部門における省エネルギー法関連制度の改善に関する調査について書かれた報告書である。令和2年度に経済産業省資源エネルギー庁の委託により、みずほ情報総研が実施した調査結果をまとめたものである。背景として、平成27年策定の長期エネルギー需給見通しでは、令和12年度に原油換算5030万kl程度の省エネルギー達成を目標としており、これを実現するため産業・業務部門におけるベンチマーク制度の流通・サービス業への拡大が重要施策として位置づけられている。ベンチマーク制度は業種ごとにエネルギー消費効率の指標を設定し、中長期的に目指すべき水準を定めて達成を求める制度であり、平成21年度に産業部門に導入され、平成28年度には業務部門へ拡大された。本調査では三つの主要な調査内容を実施している。第一に貸事務所業のベンチマーク制度の点検である。貸事務所業は省エネポテンシャル推計ツールを用いてベンチマーク指標を算出するため、評価ツールを含めた安定的な運用が必要とされている。現行制度では「事業」「ベンチマーク指標」「目指すべき水準」の三要素で構成されており、目指すべき水準は16.3%に設定されている。しかし、制度対象者からは評価ツールの使用方法や不具合に関する多くの意見が寄せられ、評価への影響要因の不明瞭さ、省エネ対策効果への納得感不足、作業負荷の大きさなどの課題が指摘されている。特に、他の区分が原単位やエネルギー性能比率を評価するのに対し、貸事務所業は省エネ余地を評価しており、省エネ取組の「結果」ではなく「取組」を評価している点が制度上の課題となっている。第二にその他業務部門のベンチマーク制度の点検として、コンビニエンスストア業、ホテル業、百貨店業、食料品スーパー業、ショッピングセンター業について制度の導入後評価を実施している。第三に業務部門における更なる省エネ促進に向けた制度検討として、エネマネ事業者等のサードパーティー活用による省エネ促進策について海外事例も参考にしながら検討している。調査手法としては、定期報告データ分析、業界団体との意見交換、事業者向けアンケート調査を実施し、貸事務所業については216事業者中35事業者が目標を達成している状況が確認されている。
