令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(バイオ市場を取り巻く環境や将来の市場動向に関する調査)報告書(全体版)
報告書概要
この報告は、令和2年度におけるバイオ市場を取り巻く環境や将来の市場動向について書かれた報告書である。医薬品産業は成長性の高い産業であり、その中でもバイオ医薬品は特に高い成長性を示している。全世界の医薬品産業は2013年から2019年にかけて他産業と比較して高い年平均成長率を記録し、2021年から2027年にかけても引き続き高い成長率が期待されている。日本の医薬品産業は大幅な輸入超過が続いており、国内売上上位の抗体医薬品の多くは外資系製薬企業が開発している現状がある。バイオ医薬品は低分子医薬品と比較して製造コストが高く、受託製造も盛んに行われている。中国のバイオ医薬品産業も急速に発展しており、主要なクラスターが形成されている。日本のバイオ研究の国際競争力向上には、異分野連携や研究効率化、事業化支援を促進する次世代型の研究拠点の構築が求められている。国内では北大阪バイオクラスターや彩都ライフサイエンスパーク、健都などの集積拠点の事例が示されている。バイオテクノロジーの研究支援分野において、検査・分析機器産業は市場規模は小さいものの日系企業のシェアが高い領域となっている。バイオ分野におけるデジタル人材の育成では、日本のIT人材が情報通信業に偏在していることや、バイオインフォマティクス人材のキャリアパス確立の難しさが課題として指摘されている。バイオ実験の自動化については、再現性向上や単純労働からの脱却などのメリットがある一方、作業プロセスの複雑さや高額なイニシャルコストなどの課題も存在する。欧州では、バイオ由来製品の市場に関する調査研究や製品普及に向けたロードマップの策定が行われており、バイオエコノミー推進のため事業者間や官民でバリューチェーン全体での連携が進められている。
