令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(EPA原産地証明書手続きの電子化に関する調査)
報告書概要
この報告は、EPA原産地証明書手続きの電子化に関する国際経済調査について書かれた報告書である。令和2年度に株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所が実施した調査であり、日本の主要貿易相手国である中国、韓国、ASEAN諸国、インドにおける原産地証明書の電子手続きの現状と課題を分析している。中国では一帯一路政策の一環として、FTA署名国とのシングルウィンドウ接続により貿易手続きの電子化を推進している。韓国では電子貿易促進法に基づく原産地証明手続きシステムが構築され、関税庁と産業通商資源部管轄下のKTNETがダブルトラックで運用されている。ASEAN諸国ではASEAN Single WindowによりASEAN域内での原産地証明書の電子的交換が実現している。インドでは2020年以降、紙媒体の原産地証明書発給を原則停止し、商工省商務局・外国貿易部が構築する電子原産地証明プラットフォームを実装している。しかしながら、電子手続き運用後において手続きが正常に遂行されない事例が発生している。インドのAIFTA電子原産地証明書運用開始後、タイやベトナムからの特恵関税が適用されず、紙媒体申請が併用されている状況が確認されている。このため電子原産地証明書の真正性確保に向けた電子署名等の実装において課題が残存している。今後日本における原産地証明手続きの電子化において、貿易相手国の電子原産地証明書真正性判断基準を満たす証明書の電子化が重要な課題となると結論付けている。
